フォース

このタブにある各種の属性は、例えば重力や風力などの、「現実の世界」の各種の力をシミュレートします。これはつまり、それぞれのクロスオブジェクトに対して独自の力を割り当てることが可能であり、各種のクロスオブジェクトがそれぞれ全く別の風力や重力の値で影響を受けるようにすることができる、ということです。

重力[-∞..+∞]

重力はクロスオブジェクトを一定の方向に引っぱり続ける外力です。重力は常にY軸の方向のみに働くので、クロスオブジェクトはY軸方向にのみ影響を受けます。ここに負の値を設定すればY軸の負の方向に(つまりシーンの下方)、正の値を設定すればY軸の正の方向に働きます。デフォルトの値は-9.81で、これは実際の地球の重力(-9.81 m/sec2)と同じ値です。この値を大きくすると、クロスオブジェクトに働く重力の大きさも大きくなります。

エネルギーの減衰[0..100%]

このパラメータは、クロスオブジェクトが持っている全てのエネルギーの減衰を指定します。このパラメータが0より大きい場合、クロス内部の振動だけでなく、風による動きや、重力による動きも1フレームごとに減衰します。

この機能は、クロスが拘束されたキャラクターやオブジェクトが激しい動きをするアニメーションにおいて、クロスの挙動を安定させるためにあります。このパラメータはアニメート可能なので、もしアニメーション中の特定のフレームでクロスの動きが破綻する場合には、そのフレームでだけ値を大きくしてください。これによって、動きが静かなフレームではクロスの動きを繊細に表現し、動きの激しいフレームではクロスが破綻しないように抑える、という使い分けができます。

風の方向[XYZ m]

ここにある3つのパラメータはベクトルの成分を表し、風の方向を指定します。ここには正と負のどちらの値でも指定できます。例えば、風の方向.Xに正の値を与えればX軸の正方向に、負の値を与えれば逆方向に風が吹くことになります。

もし2つ、もしくは3つの値を同時に指定した場合、合成されたベクトルが風の方向となります。例えば、(X、Y、Z)に対して(-1、0、-1)を与えれば、ベクトルはXZ平面上でX軸とZ軸の負の方向を向くようになり、下左図のような風が吹きます。

.X 方向

.Y 方向

.Z 方向

また、もし(-5、0、-1)を与えれば、風は角度45°よりもX軸寄りに吹き(上右図参照)、Z軸とは垂直に近くなります。

風の強度[0.00..+∞]

風の強度パラメータは風の全体的な強さを決定します。この値を大きくすると、より強い風が吹き、より強くクロスがはためくようになります。またこの値は、風に関する他のパラメータをスケールします。したがってこの値が0の場合、他のパラメータに関係なく風は吹きません。

風の乱流[0.00..+∞]

現実の風は、あるときは強く、またあるときは弱く吹くものです。「強度のばらつき」パラメータはこのばらつきの差を指定します。この値が0の場合風の強さは一定になります。この値を大きくすると、風の強さがさまざまに変化するようになります。

乱流の速さ[0.00..+∞]

このパラメータは風の強度が変化する速度(周波数)を指定します。したがって、強度のばらつきが0の場合はこのパラメータを変えても何の変化もありません。風の強度が変化している場合に、この値を大きくすると、風の速度がより早く変化するようになります。また、この値を小さくすると、風の速度がゆっくり変化するようになります。

風の摩擦力[0..100%]

このパラメータは、クロスオブジェクトに吹いている風がクロスオブジェクトを面に沿って引きずる力の大きさを指定します。この値が0%の場合、クロスはこの方向の影響を受けません。100%の場合は風の強度で指定された影響を受けます。つまり、風の方向に引きずられます。

風の圧力[0..100%]

このパラメータは、クロスオブジェクトに吹いている風がクロスオブジェクトを面に垂直に押す力の大きさを指定します。この値が0%の場合、クロスはこの方向の影響を受けません。100%の場合は風の強度で指定された影響を受けます。つまり、風の方向に押されます。

風の揚力[0..100%]

このパラメータは、クロスオブジェクトに吹いている風がクロスオブジェクトを面に垂直に押す力の大きさを指定します。風の圧力と風の揚力との違いは、計算の元になる風の向きにあります。風の圧力は面に垂直にぶつかってくる風の速度を元にして計算しますが、揚力は面に水平に流れる風の速度を元にして計算します。この値が100%の場合、クロスはこの方向の影響を受けません。0%の場合は風の強度で指定された影響を受けます。

クロスの素材が軽いシルクであれば、風によって簡単に浮きあがるでしょう。しかしながら、革のように重い素材はそう簡単には浮き上がりません。

空気抵抗[-∞..+∞]

クロスが空中を舞う場合、たとえ風がなくても空気抵抗によって後ろになびきます。このパラメータは、その空気抵抗をシミュレートします。この値を大きくすると、クロスはまるで水中を動いているように強くたなびきますし、小さくすれば空中を動いているよう弱くたなびきます。

自己反発

このオプションを自己衝突オプションと併用すると、クロスシミュレーションにおける衝突計算の精度を向上できます。また、自己衝突オプションの代わりに使用すると計算速度を速くできます。このオプションを有効にすると、クロスに含まれるポイントは離れていてもお互いに反発するようになり、クロスに強い力や速度を与えても、クロスが自分自身にめりこむのを防止できます。

左:相互反撥。右:自己衝突。

反発距離[0..+∞m]

この値は、クロスに含まれるポイントがお互いに反発し始める距離を指定します。デフォルトの値は10で、ポイント間の距離が10以下になると反発力が発生し、ポイントがそれ以上近づかないようにブレーキをかけます。

反発力[0.00..+∞]

この値は、クロスに含まれるポイント同士が反発距離よりも近づいた場合に発生する反発力の大きさを指定します。この値を大きくすると反発力が大きくなり、ポイントが近づきにくくなります。

ダンピング[-∞..+∞]

一般的に減衰とは、オブジェクトが持っているエネルギーが外力によって失われていくことを意味します。この場合は、ポイント間の距離が反発距離より近づいた時に、ポイントの速度が減衰する程度を指定します。ポイントの速度は反発力を加えた後で減衰されます。また反発力がなくても減衰は生じます。たとえばこの値が0.5の場合、計算が一回実行されるたびに速度は半分に減衰します。もしこの値が2の場合は、速度が2倍に増幅されます。