ソフトボディ

リジッドボディとは異なり、ソフトボディは変形させることができます。リジッドボディは、衝突に全体として反応するだけの硬いポリゴン体で構成されており、ソフトボディは、多数のスプリングで互いに接続された、質量の小さな多数のポイント(オブジェクトポイント)で構成されています。フォースがソフトボディに影響を及ぼす場合は、その効果は衝撃の局所から周囲の他のポイントにわたって広がり、結果としてフォースに対して柔軟な(有機的な)反応が起きます。ソフトボディは基本的に、ボール、布(布には必ずクロス機能を使用してください)、薄い金属などの変形可能なオブジェクトに対して使用します。

スプラインもソフトボディとして使用できますが、よりシンプルなオブジェクトに適しています。スプラインはコネクタとはうまく連動しないため、たとえば、ロープとしては限られた範囲でのみ使用できます。ただし、スプラインを衝突とともに使用し、別のオブジェクトに落下させたり、載せたりすることもできます。

スプラインは特に、下記の状況下で優れた機能を発揮します。

スプラインに、スプラインソフトボディが衝突する質量の範囲内にある質量を与える場合。それ以外では、スプラインはボリュームがないため、スプラインの質量は極端に小さくなります。

スプラインが、中間ポイントが十分にある均等な細分を持つ場合。

補間法 均等)。

球体プリミティブを使用する場合は、必ず20面体オプションを選択してください。また、ポリゴン化せずにレンダリング オプションは無効にします。

ソフトボディ

下記の事項を定義します。

オフ:オブジェクトはソフトボディではなくリジッドボディです

ポリゴン/ラインで作成:オブジェクトは通常のソフトボディです

クローンで作成:クローンのグループ(たとえばクローナーオブジェクトで生成されたもの)は、ソフトボディと同じようにスプリングにリンクすることができます

なお、クローナーオブジェクトの 個別エレメント は、トップレベルに設定します。MoGraph選択範囲を使用して、個々のクローンをクローンの集合体内に固定することもできます(ダイナミクスを参照)。

静止状態

静止状態は通常、スプリングが通常の長さで修正がない状態を指します。

追加の静止状態はこのフィールド(オブジェクトマネージャにあるソフトボディのコピーです。同じ数のポイントが必要です)に追加したり、アニメートすることができます。このため、ソフトボディは、相次いで異なる状態になるようにすることができます。

このフィールドのオブジェクト(その位置、方向、可視性は無関係)は、たとえばデフォーマを使用して変形させることができ、この静止状態をすみやかにソフトボディに渡します。そのため、振動の動きとともにこの新しい状態に変わります。いうなれば、動的なモーフです。

どれほど早くソフトボディが新しい形状と状態になるかは、定義した剛性によります。スプリングが軟らかければ軟らかいほど、時間がかかります。硬いスプリングを使用している場合は、ほとんど「急速に」新しい状態になります。このパラメータで、壮大な効果を演出することができます。

質量マップ

通常、ソフトボディの全体の質量は、そのオブジェクトポイントにわたって均等に広がります。そうしたくない場合は、 ポイント選択 タグ、または 頂点 マップを使用して、オブジェクトに影響を与えることができます。

なお、質量0のオブジェクトポイントは、現在の場所に固定されます(これは、クローンで構成されているソフトボディに対する MoGraph 選択範囲 で行うことができます)。

異なる質量の分散は、結果として異なる振動の動作と異なる質量の中心になります。

正確なソルバーを使う

有効にすると、安定してはいるものの、メモリを大量に使うアルゴリズムが使用されます。このオプションを無効にし、シミュレーションが安定しているか確認することができます。また、動作が不安定な場合は、フレームあたりのステップ数値を徐々に増加させることもできます。

一般に、このパラメータはソフトボディの首振りを抑えます。そのため、ソフトボディはより早く静止状態に達します。

スプリング

さまざまなタイプのスプリングの典型的な配置です。画像にあるのは、目に見えるポイントの完全なスプリングのみです。

通常のオブジェクトをソフトボディに変えるには、全てのオブジェクトポイントが3種類のスプリング(以下では、「標準スプリングタイプ」とも呼ばれています)で接続している小さい質量と見なされます。各スプリングタイプは、別々に調節したり、ポイント選択タグまたは頂点マップで、ポイントレベルで微調節することができます。

通常、全てのスプリングはフレーム0で静止状態です。つまり、全てのスプリングは、このソフトボディ状態で0のフォースを働かせます。(もちろん、静止距離「100%」に設定する必要があります)。シミュレーションが開始されると、重力が質量ポイントに影響を及ぼし、スプリングが振動し始めます。

1つの端(左)でコネクタに付着し、その下のバーに落下する次のソフトボディを使用して示します。3つのスプリングタイプ全てが適用される場合、次のような結果になります(オブジェクトがより大きい細分を伴う場合は、スプリング強度をそれに従って増加させ、結果が同じになるようにします)。

構造[0.00..+∞]

マップ

スプリングは、ポリゴンのエッジに沿って近隣の全てのポイントにスプリングを接続する各オブジェクトポイントに付着します。値はスプリングの剛性を定義します。スプリングが大きければ大きいほど、剛性が高くなります。構造が0に設定されていると、このスプリングがどのように機能するか一番わかりやすいです。

構造スプリングの主な機能は、ソフトボディの外側の形状をサポートすることです。画像上記の右側では、スプリングのサポート効果は0に設定されており、ポリゴンが床に落下するだけになっています。

ダンピング[0..+∞%]

マップ

ダンピングは、構造スプリングの首振りの程度を定義します。値が大きければ大きいほど、首振りが早く終了します。

マップ設定(ポイント選択タグまたは頂点マップ)では、これをポイントレベルで調節することができます。個々のウェイト設定に応じて、ポイントの選択と、頂点マップに次のように適用されます。

選択しない場合 = 0%

選択する場合 = 100%

弾性限界[0..+∞%]

マップ

特定のストレッチまたは圧縮ポイントに達すると、ソフトボディの スプリングを個々のスプリングのようにプラスチック変形することができます(弾性伸長限界も参照)。値を 0にするとプラスチック変形が無効になります。

なお、プロジェクトにより注意があります。スプリングの弾性限界は、ソフトボディの弾性限界に合わせておく必要があります。

概要マップ機能を説明しています。

シアー[0.00..+∞]

マップ

このスプリングタイプは、4面ポリゴンの向き合うポイントを斜めに接続し、ポリゴンが折り畳まないようにします。ここでの値は、スプリングの剛性を定義します。値が大きければ大きいほど、スプリングが硬く、剛性が高くなります。

シアー値が0に設定されていると、このスプリングがどのように機能するか一番わかりやすいです。

右側のポリゴンが、どのように菱形に変形したか注目してください。シアースプリングを無効にしても(値が0)、ポイントの段が変化することを防ぐことはできません。

ダンピング[0..+∞%]

マップ

ダンピングは、構造スプリングの首振りの程度を定義します。値が大きければ大きいほど、首振りが早く終了します。マップ機能については、こちらで説明されています。

曲げ/歪み[0.00..+∞]

マップ

他のスプリングとは異なり、曲げ/歪みスプリングは線形スプリングではありません。曲げ/歪みスプリングは、ねじれスプリングです。各オブジェクトポイントにあり、スプリングの強度に応じて、近隣のエッジに沿って角度の連続性を維持しようとします。これにより、オブジェクトのストレッチ動作から独立してたわみを調節することができます(これは、オブジェクトのストレッチ動作に影響を受ける線形スプリングが使用されたR11.5以前のダイナミクスバージョンとは異なります)。ここでの値は、スプリングの剛性を定義します。値が大きければ大きいほど、スプリングが硬く、剛性が高くなります。

曲げ/歪み値が0に設定されていると、このスプリングがどのように機能するか一番わかりやすいです。

画像にあるように、曲げ/歪みスプリングが近隣のポリゴンに沿って角度の連続性を維持しない場合、ポリゴンを一緒に折り畳むことができます。マップオプションで、ソフトボディを折り畳む特定の部分を定義することができます。

ダンピング[0..+∞%]

マップ

ダンピングは、構造スプリングの首振りの程度を定義します。値が大きければ大きいほど、首振りが早く終了します。マップ設定(ポイント選択タグまたは頂点マップ)では、これをポイントレベルで調節することができます。マップ機能については、こちらで説明されています。

弾性限界[0..180°]

マップ

特定のストレッチまたは圧縮ポイントに達すると、ソフトボディの スプリングを個々のスプリングのようにプラスチック変形することができます。(弾性伸長限界も参照してください)。値を 0にするとプラスチック変形が無効になります。概要マップ機能を説明しています。

静止距離[1..+∞%]

マップ

静止状態の頂点マップです(赤が強ければ強いほど、ウェイト設定が低く、そのためスプリング 静止距離 が短くなります)。

ソフトボディは、静止状態では形状が変わりません。オブジェクトポイントの間でリンクされている全てのスプリングは静止状態にあり、フォースは全く働いていません。シミュレーションが開始されると、重力がオブジェクトポイントに影響を及ぼし、次に衝突が続きます。これは近隣のオブジェクトポイントを変位させ、スプリングフォースが効果を出し始めます(スプリングが静止状態との関係で変位されればされるほど、静止状態に戻るために働くフォースが大きくなります)。静止距離の値は、「100%」までの長さの逸脱を定義できます。100%未満の値ではスプリングが収縮し、逆もまた同様です。マップ機能については、こちらに説明があります。

破断させる[1..+∞%]

マップ

クローンの構図は、自らの重量で崩れます。

ソフトボディ がクローンで作成に設定されている場合、この設定を使用することができます。破断させるは、スプリングが崩れる静止状態のパーセンテージを定義します。

マップ設定は、クローナーオブジェクトモードオブジェクトのみに適用されます。この設定は、クローンが置かれているポイントでオブジェクトに影響を及ぼします。

角度を固定[0.00..+∞]

マップ

もし、ソフトボディが、

クローンで作成に設定されている場合、クローンの角度に対する動きを定義できます。値が小さい(先程のスプリングの強度と同じです)と値が大きいとスプリングが堅い結果になります。

Mapについては、 概要 に詳しい説明があります。

形状を保持

形状を保持は、固さの値に応じて、ソフトボディの形状を全体としてほとんど維持します(ローカルな衝突による簡素かつマイナーな変形を除く)。

この機能は、修正されていないオブジェクトの画像を内部で保存し、定義された剛性に応じて、この形状を維持しようとします。上述の3つのスプリングタイプによるソフトボディの典型的な変動は、各オブジェクトポイントのスプリングのみが隣接部分を「見る」ことができるため、初期の全体的な形状を失う傾向があります。固さの値を劇的に増加させることはできますが、それに応じてシミュレーションが不安定になります。そのため、フレームあたりのステップ数の値を増加させて補うことが必要になり、結果としてメモリを多く消費します。

形状を保持は一方で、高速かつ安定しています。そのため、初期の形状(またはマップでの特定の箇所)を維持する必要がある場合は、常にこの設定を適用します。この設定はほとんどの場合、3つのスプリングタイプと組み合わされたときに最も良く機能します(値が初めから0に設定にされていない場合でも、値を減らすことができます)。

この機能は、布などのように剛性がほとんどないか全くないオブジェクトの全体の形状維持には、あまり適していません。

固さ[0.00..+∞]

マップ

フラビオが地面に向かって腹打ち飛び込みをしています。左側の画像は、右側よりも剛性が低いです。ここでは、反発する前の(非常に短い)静止状態が示されています。

固さは、ソフトボディが元の(内部で保存される)形状から分化するポイントの程度を定義します。これはスプリングフォースであり、つまり、剛性が低ければ低いほどスプリングが軟らかくなり、衝突で起きる変形の度合いが高くなります。

この設定を使用して、たとえば任意のオブジェクトに落下したソフトボディを勢いよく放つための、バネのあるアニメーションを作成することもできます(0から開始)。ソフトボディはすぐに初期形状に戻ります。

マップ機能については、こちらに説明があります。

これにより、下記の例のように、ソフトボディの特定の場所に簡単に剛性を与えることができます。タイヤは圧力を失うときに、それに従って変形します。タイヤにあるポイントは、車輪リム(黄色)のエッジの最大ウェイト設定で加重されています。これは形状維持が最大になる場所です。そのため、タイヤは車輪の近くでは変形せず、車輪を貫通しません(車輪自体はソフトボディではありません)。

3つのスプリングタイプ全てのデフォルト値です。右側の画像には、追加された剛性のマップがあります。

ヒント:いくつかの箇所に、互いに独立して剛性を与えたい場合は、前述の方法では反対方向に移動できないため、適していません。対応策としては、強度設定が0で、ポイント選択範囲Aの結合位置となっているスプリングにすることです。基本的に、スプリングに影響を受ける箇所を使用して、かわりにソフトボディの形状を維持します。

体積[0..100%]

3つのスプリングタイプに最小限の効果のみがあり、計算の大部分が形状を保持に取り込まれる場合は、「拍動」(ボリューム変動)効果が結果として起こりえます。体積を増加させれば、この効果を排除することができます。

ダンピング[0..+∞%]

マップ

この値は、減衰(剛性)の程度を定義します。値が大きければ大きいほど、首振りが早く終了します。マップ設定(ポイント選択タグまたは頂点マップ)では、これをポイントレベルで調節することができます。マップ機能については、こちらに説明があります。

弾性限界[0..+∞m]

マップ

形状を維持するために使われるスプリングは、個々のスプリングのように、指定された値に達するとプラスチック変形をすることができます。この指定は弾性限度値で行います。この効果は、スプリング本来の静止距離に連動します。

これらの設定を使って、ソフトボディへの永久的な修正も行うことができます。

概要マップ機能を説明しています。

圧力

左の画像の立方体が膨らみ、その結果、中央の画像のような形状になります。右の画像では、ポイント選択タグが固さパラメータに追加されています。

これはクローズオブジェクトのみで使用できます。オブジェクトは、サーフェイス法線を外側に向かって押すフォースを追加することで膨らみます。この方法は、たとえば折り畳まれたオブジェクトを膨張させるのに役立ちます。

圧力[-∞..+∞]

この圧力設定は、現実世界での圧力のように機能します。つまり、オブジェクトの全サーフェイスに圧力をかけ、オブジェクトを膨張させるフォースです。正の値はオブジェクトのボリュームを増加させ、負の値は減少(真空状態を作成)させます。

次の体積を保持設定も、圧力をかけるのに使用できますが、オブジェクトのボリュームに依存しています。

体積を保持[0.00..+∞]

体積を保持の値が大きい場合、ソフトボディが一斉に押されると、ソフトボディのボリュームは一定のままになります。

ボリューム維持の機能は、オブジェクトのボリュームを維持するために、フォースを適用します。現在のボリュームが、静止状態のボリュームよりも大きい場合は、フォースは内側に向けられ、逆もまた同様です。このフォースの強度は、体積を保持 の値で定義されます。

値が大きければ大きいほど、ボディの圧縮は少なくなります。つまり、ソフトボディが一斉に押された場合は、ソフトボディはそれに従い異なる方向に向かって拡大することで、初期のボリュームを維持しようとします。

ボリューム維持なしでは、伸長、もしくは制御不能な拡大が発生することがあります。右の画像は、固さを通して固定されたポイント選択です。

ダンピング[0..+∞%]

圧力効果の適用によって生じた首振りを減衰させます。値が大きければ大きいほど、首振りが早く終了します。